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物言う株主/アクティビスト投資家に

存在意義はあるか?

IR Magazine Reporter, Andrew Holt

2019年4月3日

「アクティビスト投資家は企業に対する脅威でもなく、より業績を改善させる要因にもならない」と最新の論文が指摘している。その論文の著者は、アクティビストファンドは企業に意味のある変化をもたらすことはできないと結論づけた。

 その論文は「満たされることのないアクティビストの約束」というタイトルで、シカゴ大学およびデューク大学のビジネス・ロー・スクールの元教授であるJBヒートンが発表した。ヒートン氏は同レポートの中でアクティビスト投資家の役割を次のように語っている。「アクティビストファンドは潜在的な買収者に対して対象企業の価格を吊り上げることに長けているが、経営に敵対的な主張をしているものの、実際には脅威ではなく企業業績の向上を支援するものでもない。私の10年以上の検証がアクティビスト投資家の活動が企業業績にポジティブな目に見える貢献をしていないことを示している。」 

ヒートンはそれには3つの理由があると言う。第一に、アクティビストはその企業の戦略策定において競争力のある有意義なアイディアを生む出す比較優位性がない。第二に、アクティビストがあまりにも悲観的なシナリオを描いて経営を非難するが故に自ら企業の市場価値を下げている可能性がある。第三にアクティビストはしばしば衰退している企業をターゲットにしており、彼らが要求を始めた頃には既に手遅れである。

 実際にアクティビストファンドの運用成績はあまり良くないという。「多くのアクティビスト投資家たちは、『医者の不養生』という言葉があるように自らの問題は自ら直せないという問題を抱えている」とヒートン氏は主張する。 「例えば、最も有名なアクティビストファンドであるエリオット・マネジメントは2018年に2%を僅かに上回るリターンしか上げられなかった。それだけでなく2009年以降、エリオットは16%を超える成績上げた年はない」という。IRマガジンはこの点についてエリオット社にコメントを求めたが回答は得られなかった。

 「アクティビストファンドは、他の投資顧問会社と同様に投資のアプローチ方法に魅力的なストーリーがあれば投資家から資金を集めることに成功する。しかしアクティビストのストーリーは当初魅力的に見えるがそれは直ぐにつまらないものになってしまう。なぜなら彼らは単に『会社を高い値段で売り抜けろ』と経営に要求しているだけだからだ。そうでもしなければ、彼らは企業に何がしかの変化をもたらすことはできないと認識している。」とヒートンは主張し次のように結論づけた。

「アクティビストによって企業が再生したり、良い企業がさらに優良企業に変貌したなどと誰でもその功績を認められるようなケースは1例もない。報道機関や学術誌でアクティビストについての活発な議論が行われてきたが、資本市場参加者や企業の役員がアクティビストの要求を恐れる必要はないことは明らかだ。」

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